光合成ユビキティ あらゆる地球環境で光合成を可能とする超分子構造制御

menu

藤田班の研究成果がプレスリリースされました

ナンバンギセルやギンリョウソウのように光合成の能力を失った寄生植物はよく知られていますが、光合成を失う進化のプロセスを観察した例はこれまでありませんでした。名古屋大学大学院生命農学研究科の肥田 真太朗、西尾 万梨恵、上坂 一馬 、馬場 真里 、高谷 信之 、山本 治樹 助教、井原 邦夫 准教授、藤田 祐一 教授らの研究グループは、葉緑体と同じ祖先をもち植物と同じ光合成を営む微生物シアノバクテリアを、光合成ができない暗闇で長期間培養を行い、光合成の能力の変化を調べました。その結果、実際に光合成能力の喪失・低下が起こり、そのような変化の多くは、ある遺伝子への突然変異による光合成と呼吸のトレードオフによってもたらされたことが分かりました。これらの突然変異と形質の変化は、まさに光合成を失う進化の初期プロセスと思われます。今後は、この新しい光合成と呼吸の調節メカニズムの解明と、光合成が失われるプロセスの具体的な道筋の解明につながると期待されます。

【名古屋大学プレスリリース】https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/07/post-846.html
【発表雑誌】Plant and Cell Physiology 
【論 文 名】Genome analysis of dark-adapted variants identifies the phosphatase gene phsP involved in the regulation of photosynthetic and dark-heterotrophic growth in the cyanobacterium Leptolyngbya boryana.
【著 者】Shintaro Hida, Marie Nishio, Kazuma Uesaka, Mari Banba, Nobuyuki Takatani, Haruki Yamamoto, Kunio Ihara, Yuichi Fujita
【 DOI 】10.1093/pcp/pcaf043
【掲載 URL】https://doi.org/10.1093/pcp/pcaf043